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図1 学会スケジュール

背景に目を向けることはたいへん重要なことである。本セミナーの最初の基調講演でも「ケアにおける文化」がテーマとして取り上げられ、シンガポールのカウンセラーAnthony Yeo先生は次の点を強調された。
?患者は、家族等との関係の中にある存在であり、彼らのもつ文化の影響を常に受けている。まず患者と家族の文化的背景を客観的に見ることが重要である。
?ケアを提供する側もまた自身の文化をもち、患者との関わりの中で影響しあっている。ケアを提供する者自身も自己を客観視し、自己に気づくことが同時に必要である。
?文化の影響を受ける患者や家族の精神的側面へのアプローチにおいては、情報提供より理解的態度が重要であり、コミュニケーションの技術が要求される。また、文化の共有は、単に言葉のレベルにとどまらず、体験を共にし、患者と共に歩むことである。
文化に関するワークショップは、「アジアの文化の中での喪失と悲嘆」について、シンガポールのホスピスで働くシスターであり看護婦でもあるGeraldine Tan先生をファジリデーターとして進められた。延命を望む家族の思いと患者のQOLの問題、遺体の処置や喪の期間に行われること、子供への対応などについて話し合われた。そして、死を隠そうとする習慣がある中で、死を前向きにとらえ、子供も遠ざけることなくケアに参加させていくホスピスのあり方が確認された。
2.症状マネージメント
終末期患者のケアにおいては、患者の経験するさまざまな苦痛を緩和し、身体的に安楽にすることがまず大事なことである。
症状マネージメントについては3人の医師、英国のIlora Finlay先生、シンガポールのRosalie Shaw先生、そしてインドのZuhca Lobo先生が、それぞれの立場から講義された。
症状マネージメントの原則として、
?症状の評価、そのためには患者の言葉を傾聴

 

 

 

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